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No.1 スティーブ・ジョブズ 名言 ~点と点について~

世界を舞台に活躍する人物たちの“ことば”から、生きる“ヒント”を。
Everyone is my mentor.

人物

本名:Steven Paul Jobs(スティーブン・ポール・ジョブズ)
生誕:1955‐2‐24(アメリカ‐カリフォルニア州‐サンフランシスコ)
職業:アントレプレナー(Apple Inc. 共同ファウンダー)

こころ そっと 揺れる ことば

スタンフォード大学の卒業式より・・・

未来を見据えて、点と点を、結びつけることはできません。
後に振り返って見た時にしか、点と点を、結びつけることができないのです。

それ故、皆さんは、点と点が、とにかく、未来に結びつくと信じなければならないのです。自分の根性、運命、人生、カルマ、たとえそれが何であれ、信じなくてはならないのです。

なぜなら、点と点が、いずれ、未来に結びつくと信じることは、あなたに、自分の心に従う自信をもたらすからです。たとえそれが皆さんを、多くの人が通る道から外れる道へ導くとしても、大きな違いを作り出すのです。

感想

デザインとテクノロジーの力によって、私たちを魅了し、世界中にインパクトとイノベーションを創出し続けたジョブズ。

私は魅了された、その一人である。
 
Apple社が、開発提供するMacintosh、iPod、iPhone、iPad、Apple Watch、Apple TV、驚愕の新社屋Apple Parkにも。さらに、ジョブズのプレゼンテーションにも。

ジョブズ亡き今、名高いスピーチがある。それは、スタンフォード大学の卒業式(2005‐6‐12)で行われた。ジョブズが、ゲストスピーカーとして登壇し、卒業生に送ったメッセージである。 今では、世界中で、“伝説のスピーチ”と謳われている。

ジョブズは、卒業生を前に、「今日は、皆さんに、自分の人生から3つの話をしたいと思います。それだけの事です。大した話ではありません。たった3つの話です。」と前置きをした後、話し始めた。

3つの話とは、以下のとおり。

1. 点と点を結ぶことについて
2. 愛と喪失について
3. 死について

そのすべてが、心を揺さぶられるものである。
本稿では、そのうち、「点と点を結ぶことについて」の話を採り上げる。

ジョブズは、スタンフォード大学の卒業生ではない。ご存知の方も多いと思われるが、スタンフォード大学とは、世界大学ランキングにおいて、トップ10入りの常連大学。まさに、世界を牽引する大学の一角を成している。

ジョブズは、スタンフォード大学と同じくらい学費の高いリード大学へ入学した。しかし、わずか半年足らずで、大学に意義を見いだせなくなってしまい中退する。

これは、自身が人生で何をしたいのか、そして、それを見つける為に大学がどのように役立つのかが分からず、両親が生涯かけて蓄えてきた資金が高額な学費へと費やされていることへの疑問が、背景にあったとされる。

しかし、ジョブズは、出戻り学生としてリード大学に残り、その後、1年半の期間を過ごすことになる。この期間、自身の興味と直感に従って巡り合った講義が、後のジョブズの人生にとって、極めて貴重なものとなっていく。

ジョブズは、リード大学にて、カリグラフィー(文字を美しく見せるための手法)の講義を受ける決意をする。そこで、字体、異字体を組み合わせた時の文字間隔の調整や活字印刷をよりよく見せる手法などについて学んでいった。後に、ジョブズ曰く、カリグラフィーの講義は、当時としては、国内最高水準であったと話している。

ジョブズは、この時の経験を、次のように表現している。

「それは、美しく、歴史を有し、科学という意味では捉えきれない芸術的繊細さを備えていました。私は、魅了されてしまいました。このどれもが、私には、私の人生で実際の仕事に応用する希望すらなかったのです。」

さらっと、読まれた方のために、もう一度だけ。

このどれもが、私には、私の人生で実際の仕事に応用する希望すらなかったのです。

文脈より、ジョブズは、カリグラフィーの世界に熱狂していたと察する。このカリグラフィーの講義は、ジョブズの人生にとって“点”を打つことになる。この“点”が、“何”と結ばれるのか、この時には、ジョブズ自身にも分からない。

そして・・・。
ジョブズが、打った“点”は、長い歳月を経て、次の“点”と結ばれることになる。

Apple社が、最初のMacintoshを設計していた時、その機会は、やってきた。あれから、10年後のことである。同社は、カリグラフィーで得た知見を、Macintoshにすべて組み込んだ。ご承知のとおり、Macintoshは、美しい活字フォントを備えた、世界で、最初の、コンピュータとなった。

もし、ジョブズが、リード大学を中退していなければ、出戻り学生としてカリグラフィーの講義を受けることもなかっただろう。

もし、そうであるのなら、PCが、現在のような素晴らしい活字フォントを備えることもなかったのかも知れない。

この記事を執筆している最中、空から、ある諺が、降ってきた。

「一芸は、道に通ずる。」
ある一つのことを知り尽くし極めたる者は、異分野においても、よりよい方法を見いだし、上手くやっていけるだろう、という意味である。

もう一度、ジョブズのメッセージを読み返して欲しい。
感じることはないだろうか。

近未来予測は可能であっても、中長期予測がほぼ不可能な時代。自身が打った“点”が、未来のどこかで、“何か”と結びつくはずだ、と信じることは、極めて難しい。

だが、そういう時代だからこそ、信念をもって信じることが、必要なのかも知れない。